萩  城  跡(国指定史跡)

山口県萩市堀内85−2


慶長5年、毛利氏は関が原の戦いに敗れた結果、中国地八カ国の領地を削られ周防・長門(現在の山口県)二カ国36万9千余石の領主に移封されました。
そこで輝元は居城として防府、山口、萩の三箇所を候補地として徳川幕府に伺い、萩指月山麓に築城することになりました。
慶長9年(1604)着工、同13年竣工。

そのころ、指月山はまだ現在のように完全な陸つづきではなく、満ち潮になると歩いて渡ることはできませんでした。
そのため、城を作るにはまず埋めたてをすることから始められました。
石材は、指月山の麓の岩石を使用しましたが、不足分は隣村の大井・奈古(阿武町)や青海島(長門市)から運び出しました。
木材は、阿武・大津・豊田(豊浦郡の東半分)の三つの郡に割りあてましたが、
大部分はやはり萩のまわりの霧口・川上・佐々並の村々から阿武川を利用して運びました。
瓦は、和泉国 (大阪府)の堺のものを多く用いましたが、地元で焼いた瓦も使いました。
毛利輝元は、萩城の工事が始まった年の11月11日に萩へ移り、翌年には、家臣たちに屋敷を割りあて、商人や職人をよんで、町づくりにとりかかりました。
現在では、萩の町は松本川と橋本川にかこまれた三角州のうえに発達していますが、当時このあたりは、大部分が沼で、アシのはえた水たまりでした。
これより文久3年(1863)第13代藩主敬親が藩府を山口に移転するまでの260年間、政治の中心地でありました。
日本の歴史上、「明治維新」前後は最も活気のある、多くの人材を輩出した時代ともいえ、その時中心となって活躍したのが萩藩です。
吉田松陰、高杉晋作、木戸孝允、伊藤博文をはじめ多くの志士が日本を揺り動かし、近代国家の礎を築いたのです。
明治元年(1869)に萩城内の政事堂が藩校明倫館に移されると萩城は機能を失い、明治7年(1874)に解体されました。


萩博物館蔵


現在の萩城跡は、中の総門跡・北の総門跡・平安古の総門跡が三の丸への入り口に当り、そこから城内となり、その傍には外堀跡があります。
毛利輝元の没後、その隠居所跡に菩提寺として天樹院が建てられ、廃寺後は唐門と輝元夫妻の墓が残っているだけです。
堀内の疏水運河にかかる指月橋を渡ると二の丸になり、二の丸南門の跡があり、その先に内堀が現れます。
内堀の内側は本丸です。
内堀を渡ると本丸門跡があり、そこから天守閣跡の石垣が見え「扇の勾配」と云われる強く美しい石垣が目に付きます。
北矢倉の門跡を通って海岸に出ると長方形をしたいくつも穴の空いた岩がありますが、これは萩城工事の石垣の伐り出し跡です。
本丸内にある指月山を登り山頂を目指すと、石垣に囲まれた詰丸跡があります。


扇の勾配



厚狭毛利家萩屋敷長屋は萩城跡のチケットとセットになっていて、一枚買えば、両方見学ができるのです。



厚狭毛利家は、毛利元就の五男の跡を継いだ八男元康を始祖とする毛利家の一門です。
総石高8371石余のうち、主として厚狭、(現在の山口県山陽小野田市)に知行地を持ち、ここに居館を構えていたので、厚狭毛利と呼ばれました。
厚狭毛利家萩上屋敷は、萩城の二の丸南門の南100メートルの要地にあり、面積約1万5500平方メートル(約4700坪)の広大なものでした。
屋敷地の中にあった主屋や庭園などは、明治維新前後に解体されてこの長屋のみが残っています。
この長屋は昭和41年(1966)6月に国の重要文化財に指定され、翌42年7月から解体修理に着手し、43年11月に完成しました。
解体修理の際に発見された附棟札から、長屋は10代元教(のちの元美)の代、安政3年(1856)5月に建てられたことがわかりました。
用材はすべて領地の厚狭で調達され、切り込みを施したうえ記号と番号をつけて、海路萩まで送ってきたといわれています。
建物規模は桁行51、5メートル、梁間5メートルと長大な構造で、現在萩市内に残っている武家屋敷長屋の中で最も大きく、
屋根は入母屋造り本瓦葺きで、出格子5箇所、格子窓6箇所を設けています。

内部は東の座敷(部屋数10)、中の座敷(部屋数6)、物置(土間、二階造り)、西の座敷(部屋数3)および板の間の5つのブロックに分かれています。
各座敷は、厚狭毛利家の家臣たちの詰所になっていたものと思われます。
また、西の端にある板の間は中間部屋で、昭和43年の解体修理の際に復元しました。
萩市内には、武家屋敷の長屋門がいくつか残っていますが、いずれも江戸時代末期のものです。
その中でもこの長屋は建築年代のはっきりした貴重なものです。
また入り口の門は、修理に際して新しく作ったもので、当時は土塀が続いていたものと考えられています。




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2008年8月28日(木)       記       /           

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